アスベストは、古い建物に潜む健康への脅威です。
外壁塗装を行う際には、アスベストの危険性を認識し、適切な対策を講じることが重要です。
そこで本記事では、アスベストの健康リスクと安全な除去方法について解説します。
□アスベストの健康リスクとは何か?
アスベストは、呼吸器に深刻な健康被害を及ぼす可能性のある鉱物です。
古い建物の建材に含まれていることが多く、その危険性について理解を深めることが大切です。
1:アスベスト曝露による主な健康リスク
・石綿肺:肺が線維化し、呼吸困難などの症状が現れる。
潜伏期間は15〜20年。
・肺がん:物理的刺激により発症。
潜伏期間は15〜40年。
・悪性中皮腫:胸膜や腹膜にできる悪性腫瘍。
潜伏期間は20〜50年。
2:アスベスト含有建材の存在
2006年以降、アスベスト含有製品の製造・輸入・使用が全面禁止されました。
しかし、それ以前に建てられた建物では、アスベスト含有建材が使用されている可能性があります。
3:アスベスト含有建材の分類と使用箇所
アスベスト含有建材は、発じん性に応じてレベル1〜3に分類されます。
・レベル1(発じん性が著しく高い):吹付け材(機械室・ボイラー室の天井や壁など)
・レベル2(発じん性が高い):保温材、断熱材(ボイラ本体・配管など)
・レベル3(発じん性が比較的低い):レベル1・2以外の建材(天井、壁など)
□外壁塗装とアスベスト除去の安全な進め方
アスベスト除去には、適切な安全措置と手順が不可欠です。
特に、湿潤化と廃棄物処理に注意が必要です。
1:基本的な考え方
・アスベスト含有仕上塗材や下地調整材の除去には、必ず湿潤化を行う。
・除去した塗材の破片が飛散しないよう、適切な養生を行う。
・除去作業中も材料を湿潤な状態に保つ(散水など)。
・湿潤化に使用した水は、適切に回収・処分する。
・廃棄物は石綿含有産業廃棄物として、固化剤等で処理後、2重袋に梱包して処分。
2:剥離剤を用いる工法
・仕上塗材の種類に合わせて剥離剤を選択(確認試験が必要)。
・剥離剤による軟化は湿潤化と同等とみなされ、追加の散水は不要。
・養生は軟化した仕上塗材で周囲が汚れない程度で可。
・廃棄時の固化剤等での処理は不要。
・除去後の確認を慎重に行い、取り残しには他の工法を併用。
3:高圧水を用いる工法
・湿潤化は十分に行われるが、アスベストを含む廃水の飛散防止のため、十分な養生が必要。
・廃水は適切に回収し、産業廃棄物として処理する。
□まとめ
外壁塗装を行う際は、アスベストの健康リスクを理解し、適切な除去方法を選択することが重要です。
湿潤化と養生を徹底し、除去した廃棄物は規定に従って処理しましょう。
安全な工事を行うことで、作会社や周辺住民の健康を守れます。
アスベストの危険性を認識し、適切な対策を講じることが、安心・安全な生活環境の維持につながるのです。