皆様こんにちは! 代表の佐久間です。
本日は、意外に悩まれている方の多い、外壁や屋根に発生する苔やカビ、藻についてのお話しです。
皆さんがお家を見た時に、お家の北面やエコキュートの裏などが緑色の苔が付着している事はありませんか?
実はお家の壁や屋根に苔や藻などが発生した場合、皆さんは見た目が悪い事のみを気にされますが、外壁の耐久性
にも影響してくる事なのです。
この苔や藻などといったものには水分を含んでいる為、苔が発生すると常に外壁に水分を含んでいる状態になってし
まう為、外壁の劣化速度が速くなってしまうのです。
見た目は勿論ですが、こういった外壁の耐久性にも影響を及ぼす苔、カビ、藻について説明していきましょう。
まずは苔、藻、カビの違いについて、
①苔 種類 蘚苔類
苔の胞子は空気中に浮遊していて、その胞子が壁などに付着し壁に根を張り繁殖します。
苔が繁殖する条件として水分が挙げられます。苔は普通の植物とは違い、根から水分を補給する必要はなく
根で体を固定しているといったイメージです。
そして空気中の水分などからでも水分を吸収出来る為、日陰ではどんどん成長し、日当たりがよく、乾燥し
やすい場所には発生しにくいです。
②藻 種類 地衣類
藻は苔と同様に繁殖する為には水分を必要とし、光合成により栄養を合成する為、日の当たる湿った場所
を好みます。
③カビ 種類 真菌類
カビは苔のように植物ではなく、菌類に属します。
苔は植物ですので光合成をする為に多少の日当たりが必要になりますが、カビは光合成をしませんので
まったく日当たりのない場所でも湿度が75%以上であればどんどん繁殖します。
よく苔や藻、カビは混同されがちですが、その種類によって性質は様々なのです。
では次にどういう環境が苔をを生えやすくさせるのかという問題ですが、原因として次の事が挙げられます。
①湿度が高い
②風通しが良くない
③森や樹木が近くにある
④池や田んぼ、用水路などが近くにある
⑤外壁に凹凸の多い材料が使われている
⑥外壁の塗装が傷んでおり、水分を吸いやすい状態になっている
事が挙げられます。
湿気が多い所に発生し易いのは皆さんよくご存じだとは思いますが、外壁の凹凸や傷みといったところも影響する
ことをご存知の方は多くはないのかもしれません。
私が今までの経験で言わせて頂くと、一番苔が生えやすい外壁はやはりリシン壁だと思います。
リシン壁というのは、一般的にはモルタル壁に使われる事が多く、塗料の中に砂骨(小さい石のようなもの)が入っ
ている為、水分や汚れが溜まりやすく、苔が繁殖するのには最適だと言えます。
↑モルタル壁にリシンを吹き付けたもの
昔はよく使われていた材料になるので、このデザイン、質感が好きだと仰る方も多いですが、ひまわりペイント
では、もしリシンを希望される方には、こういったデメリットも説明したうえで施工させて頂くようにしております
この苔などは見た目や性能に影響を及ぼすものですからなるべく早く除去しなければなりません。
次はこの苔の除去方法についてお話しします。
まずはご自身で除去したい場合
今は家庭用でも性能の良い除去剤が発売されているようですのでホームワイドやナフコなどに行けば購入できます。
手順としてはホームセンターで除去剤を購入してきたら、まずホースである程度の汚れを洗い流します。
そして除去剤をスプレーしたら24時間放置します。
24時間後に洗浄剤が壁に残らないようにしっかりと洗い流します。(中には洗い流さなくてもよい除去剤もある)
ほかの方法としては、あまり現実的ではないかもしれませんが、熱湯をかけるという手もあります。
苔やカビというのは45℃以上のお湯を2分程かければ死滅すると言われています。よく市販されているスチーム
などを使うのも良いかもしれませんが、外壁の素材や劣化具合によっては逆に外壁をを傷める可能性もありますので
気をつけてくださいね。
あとは皆さんが一番考えるのは高圧洗浄による除去だと思います。
しかしながら、市販されている高圧洗浄機は大半が一点に水圧が掛かるものが多く、少し傷んでいる外壁だと、高圧
洗浄をかけた跡が残ってしまったりする場合がありますので外壁についてはあまりお勧めしません。
ここで小話ですが、我々ペンキ屋が塗装する前に高圧洗浄をかける際、ただ何も考えずに洗浄しているように見えま
が、実は洗う箇所によって水圧や水の噴き出す形を変えて、その箇所にあった洗浄をしています。
それを一般の方が真似をするのは中々難しいと思いますので、家庭用高圧洗浄機で洗うのは、土間や塀などだけにさ
れる事をお勧めします。
では業者に頼む場合はどのような事をするのでしょうか?
業者に依頼した場合
①お家の周りに足場を組み立てます。
②養生シートを設置し、近隣に水が飛ばないようにします。
③ご近所様に苔の除去作業を行う旨を告知します。
④外壁や屋根に薬剤の塗布を行います。(業者用の薬剤になります。)
⑤高圧洗浄
⑥足場解体
という流れになります。
使用する薬剤は業者によって違ってきますが大体同じようなものだと思います。
ミヤキ コケシラズ
ちなみに私達がよく使うのは↑のものになります。
木部はまた別の除去剤があり、
ミヤキ カビスケ
↑のようなもの使用する事が多いです。
こういった薬剤を使用すると壁面の中にまで根を張っている苔やカビもしっかりと落とす事が出来ます。
最後に苔などを再発しにくくさせる為の対策としては、実際問題苔やカビが発生しやすい壁は、方角や立地条件
の関係から根本的な改善が難しいケースがほとんどです。
本当ならこまめに掃除するのが一番ですが、少し対策するとすればやはり風通しを良くする
という事が一番です。壁際に物を置かないようにするという事や、塀などで風通しが悪くなっている場合は、生垣
などにする事で改善されるケースもあります。
あと窓のサッシ付近など、結露からの水滴が垂れる場所には苔が発生しやすい為、換気を行い外と室内の温度差
を少なくすることで結露の発生を抑制する事も有効だと思います。
そしてもし、苔の除去を行った後に外壁の塗装を行うようであれば、塗料の中に防カビ剤を添加するという
事も考えてもいいかもしれません。
各メーカー様のほとんどの塗料には防カビ成分というものが含まれていますが、やはり一度苔やカビが発生
した場所には再発し易い為、塗料の中の防カビ成分だけでは対処できない為、より効果の高い防カビ剤を添加
する事により、再発のリスクが軽減されます。
↑塗料添加用防カビ剤
さて、今回の苔のお話しはこの辺で終わりにしたいと思いますが、もしご自身のお家の苔やカビに悩まれている
方は一度専門家に相談してみては如何でしょうか?
専門家なら何か有効な手段をアドヴァイスしてくれると思いますよ。